TCKとは日本では聞きなれない言葉ですが、インター校ではまさにこのTCKが多いことから保護者への勉強会などのトピックに選ばれることが多いです。これは、両親の属するパスポートとは違う国で学び生活する生徒のことで、彼らは親の仕事によって国を数年ごとに転々とすることも多いため、利点もあれば思わぬ落とし穴もあります。
TCKと帰国生の違い
TCKを無理やり日本語にすると第三文化の子供たちでしょうか、、、今次男が通っているインター校にもこのような両親の国籍とは違う国を数年ごとに回っている生徒はたくさんいます。中には生まれも育ちも両親の母国ではなく、両親どちらかの母国に行くのは祖父母に会いに行くときのみ、という子供もいます。このような、母国があるようで実はその国や文化をあまり知らず自己のアイデンティがはっきりしない、という子供が本当のTCKということらしいです。TCKは確かにインター校に多いのですが、他にも移民や難民の子供も含まれる場合があります
ですので、帰国生がそのままTCKと言われることもあるようですが、広い意味ではそれもありなのかもしれないものの、日本人として明確な意識と育った経験があれば少し意味合いが違うように思います。帰国生も長く海外で過ごすと、海外での文化圏に慣れてしまって日本に帰ってきたときになじめない、とかいじめにあってしまう、などとよくききますが、だからと言って自分は日本人としての自己を認識できないという人は少ないのではないかと思います。
次男の親友はイギリス人ですが、生まれ育ちはブラジル、小学校の途中から中東に移って、今は韓国で暮らし、通学しています。幸いなことにイギリス系のインターはどこにでもあるので世界のどこにいてもイギリスの教育を受けられはしますが、愛国心のようなものはどの程度育つものだろうと興味深いです。また国連関係の人は国際結婚が多く世界各国を回っている場合も多いので、子供もそれこそ世界中をめぐり学校はインター校に行っても、両親の母語も十分には理解できないという話もよくききます。そうなると、愛国心どころか、母国という意識も薄くなってしまいます。
TCKの強みと弱み
TCKは実はかなり以前から報告や研究が進むようになってきており、いろいろ読むことができます。インター校に行っているうちは周りにも同じような境遇の生徒がたくさんいて、多文化多言語の中でとても柔軟性に富んだ生徒が多いです。しかし、大人になって就労すると大抵の人は自国のバックグラウンドがあり文化や歴史をそれなりに背負っているので、職場や同僚と当然ながらそのような話題も出る中、質問されても自国についてのアイデンティティをしっかり持っていなかったり語るべきものを持っておらず、自己の喪失感を感じてしまうことがあるということです。自分が成長する中でのバックボーンとなる文化や自国語をしっかりと持っていないということが自己喪失感につながり、アイデンティティの確立に障害となってしまうようなことがあれば、親としても責任を感じてしまうところです。興味深いのは、このTCK同士がやはりピアとして自分の立場などを理解しあえるということで、大人となってもパートナーとなったり結婚したりすることも多いとのことでした。TCKは大人になっても国際舞台で仕事をする人も多いので、TCK同士が結婚した子供たちになると、もうなんというかパスポート関係あるのかくらいになるのではと想像します。。。
うちの次男も?
うちの次男は5年生まではマレーシアで過ごしたので、もう少しマレーシア人としてのアイデンティティがあるのかと思いきや、その後の6年は海外の学校で過ごしすっかりマレーシアへの帰属意識のようなものは失くしてしまっています。どの程度親からのサポートをすべきなのか悩むところですが、もうすでに勉強しようと押し付けられるような年齢でもなく、必要に応じて自分で学んだりもするだろうし、何かしら支援を求めてきたら対応するということくらいしか実際のところ思いつきません。ただ、TCKと同時にハーフということで、日本人の中にいても日本人になり切れず、マレーシア人の中にいてもマレーシア人になり切れないのだろうなー、返っていろんな人種がまじりあってる職場の方が気楽なのかなーと思えたりします。せっかく長々とインター校で過ごしてきたので、それもありです、どうなるのでしょうか。
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