長男は小さいころから成績が悪く、インター校でIGCSE(国際中等教育一般証明試験)を受ける際に、合理的配慮を受けることができました。2019年の経験談を書きたいと思います。
入学時から成績ギリギリ
海外でインター校に通っておられる生徒さんの多くは、グローバルな教育と知識を身につけてほしい、という親の思いがあって、という場合が多いと思います。ですので、うちの長男のように成績が悪くて何とか合格するために底辺あたりで頑張って、IGCSE(国際中等教育一般証明試験)でもできる限りの合理的配慮をしてもらって、なんとかかんとかぎりぎりで切り抜けた経験は珍しいかと思います。
長男は小学校の時から成績は常に後ろから数えたほうが早いどころか、どん底1-3位までを行ったり来たりで、インター校に入学してからも常に補習対象、英語サポートや個別支援にも頼っていました。マレーシアで生まれ育ったので第一言語は英語ですが、それでも英語サポートが必要でした。
IGCSEの科目選択
IGCSEはイギリス系学校の生徒全員が受けねばならない試験なので、受けないという選択はなく、大学予備課程に進学するための5教科の選択とその変更に何度か親、教師、補助教員が集まって相談しました。全くイギリスの制度を知らずに入学したために、当初の選択科目は将来の役に立ちそうなどという理由で「ビジネス」をとったりしていましたが、学年途中で合格できそうにないからと、落とすことを勧められ、受験教科数を減らしたりしました。その分他の教科に集中することにして、できるだけ少ない教科で挑むことになりました。
合理的配慮への希望調査
試験の数か月前に合理的配慮に関する調査が送られてきました。インター校でもあり、障害認定などなくても自主的な報告と配慮が必要な理由を述べることにより、個別の配慮が検討される仕組みになっていました。長男の場合は、小さいころからの成績が悪いことやテスト結果など報告し、教師による評価とともに、試験の際に合理的配慮が受けられることになりました。具体的には、一教科ごとに25%の時間延長、別室(個別)教室での受験、教師による問題読み上げ、でした。他にも失読症の生徒などが同じ条件で試験を受けていました。
これらの支援をもってしても、長男は結局5教科の合格はなりませんでしたが、3教科で合格できました。大学予備課程には進学できませんでしたが、3教科の合格があれば、短大に当たるDiplomaコースや職業訓練校には問題なく進学できます。現在はこのコースの2年目となり、インターンシップをがんばっています。もしこのインター校でのサポートや合理的配慮がなければ3教科合格もむずかしかっただろうと思っています。よいタイミングでしっかりイギリス式の支援を踏襲した学校で過ごすことができて運もよかったと思います。
これは余談ですが、次男がコロナによる待期期間約1年の間、日本の中学生となったときにも日本語があまりできないために、試験の際には合理的配慮をしますとのことで、同じように別室試験、時間延長、さらに読み上げはないものの漢字に読み仮名をつける、などしていただき、公立でこれだけの配慮があるとはさすが先進国と思いました。IGCSEも、イギリスの公教育に則したものなので、長男にもイギリスと同じ合理的配慮が実施されたものと思います。
他にも、IGCSEにはもう一度受け直すシステムや、結果に不満がある場合には点数を見直すシステムもあります。通っていた学校を離れてしまっても、各国にあるBritish Councilを通して、半年後または1年後に受け直すこともできます。しっかりした公正なシステムではありますが、いちいちかかる費用が高く、IGCSE本番の時には軽く10万円くらいかかりました。まあ、その中でこの合理的配慮には人も時間もかかって大変な中、追加の支払いなしで実施してもらえたことは感謝ではあります。。。しかし、これが以前通っていたマレーシアのローカルインター校であったなら、たぶんこれらのサポートは受けられなかったのではないかと思います、ひとりひとりに対する教員の配置や別室の用意など、余裕がなければできないサービスで、これらの個別支援はなかなかに負担の大きいものだろうと感じました。
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