インドネシアではパラリンピックをテレビで放送してくれたおかげで、初めてじっくり見ることができました。感動とともに、いろいろ思うところがありました。
インドネシア勢大活躍
パラリンピックの放映は途上国ではあまりないのですが、インドネシアでは見れました。とはいえ選手団が出ていない競技はダイジェストバージョンしか見れず、ライブではいつも卓球かバドミントン、重量挙げと水泳でした。バドミントンと卓球はやはりすごい。障害があってさらに女性、さらに回教徒となるとここまで来るのは大変だっただろうと思い、勝手に想像してウルウルしたりしていました。
途上国での障害者スポーツ
とはいえ、途上国でスポーツの機会が豊富にある人、またスポーツ競技に参加し選手として活躍できる機会に恵まれる人は本当に少ないのが現状だと思います。今まで途上国の障害者支援や教育にも関わってきましたが、体育がきちんと取り入れられている公的な特別支援教育は非常にまれなうえに、スポーツ普及に全く重きは置かれていませんでした。また教師は女性がけっこう多いものですが、ムスリムの先生は体操服に着替えもせずに陰に入って生徒があそんでいるのを見ている、くらいな感じが多いようでした。その中で選手として目を出しそれを延ばす環境があった人は、たいていが恵まれた家庭なのではないかと思います。親のサポートとよい教育を受けられる経済環境にあったということです。スポーツにおいては障害者が公教育の中で芽を出し、それを見つけて伸ばせる教育者に会えることはまずないのが現状だと思います。しかしその現状の中で、これらの選手がリーダーとなってスポーツ普及や選手育成に尽力できるようになれば良いなあと思います。
競技用の器材
また、競技用の義足にしても車椅子にしても世界のトップレベルに立つには何度も何度も調整した個々人にあわせて作られたものがいくつも必要になります。そのためには莫大な費用と技術と周りのサポートが必要です。メダルをとれる選手ならともかく、スポンサーを探すことはかなり大変なのではないでしょうか。そのために、これらが必要な競技にはあまり途上国からの選手はいませんでした。その中で陸上競技でタイの選手が車イス走で何度かメダルを取っていたのはうれしく見ました。
実はこのような個々人のための機材はともかく、障害者スポーツならではのいろいろな機材、例えばの話ですが、ゴールボール用の鈴の入ったボールなどは国際規格のものでなければいけないので、それを輸入して販売する業者から必要とする団体が買うことになります。これらの業者とそれを扱う何とか連盟のような関係もかなり闇で、他に競争相手がないのでありえないような高値な値段で取引されていたりします。明るいイメージのスポーツで障害者支援をと言いつつ、その裏は結構いろいろな思惑が渦巻いていたりします。がんばっている途上国の障害者スポーツ支援NGO凄いなーと思っていたら、実はあそこはひどいんだ、と現地の人から内情を聞いて驚いたことがあります。
それでもやっぱりパラリンピック
いろいろ思うことはあってもやはりパラリンピックは大きな啓発となりうるし、様々なバックグラウンドの持つ人がメダルを貰って泣くときにはいつももらい泣きをしてしまったし、四肢欠損の人が泳ぐ姿には感動しました。歩いたり車椅子を操作するのも大変なのに水の中ではまさに魚のようになったり自転車に乗ればものすごい勢いで進むのを見て目を離せなくなりました。パラリンピックは障害者がかわいそうな人ではなく、特別な人でもないという当たり前のことに気づくよい機会だなと改めて思いました。
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