ボランティアのポストはたくさんあるPT,OT,STですが、国連やJICAなどの大きな公的な機関での専門家としてのポストはめったにありません。それは、対象国や対象地域の開発課題の上位にセラピストの育成や障害者支援が上がってこないためです。たいていの途上国は国家開発課題の優先順位でこれらの項目は非常に低いですし、公的支援機関は開発課題に沿って支援をするからです。ですので、医療を専門にしているような例えば国境なき医師団のような国際NGOであれば、ポストが要請されることもあるでしょうがそれも緊急課題が優先されるのでなかなか求人を見つけることは難しいです。
民間レベルや国際NGOならあり
セラピストの技術力だけでなく指導力や管理能力も必要になるとは思いますが、国際NGOでの仕事や、技術者協会レベルでの協力ということでの派遣は十分にあり得ます。ただ、それが長期わたっての契約とはならない場合がほとんどなので、またセラピストという職で次の職をとなるとそれで食いつなぐのは少し厳しいかなという印象です。国際NGOは福利厚生も社会保険も手当てもシッカリしているところから、本当にボランティアレベルのところまであるので契約形態や希望する額を手に入れられるかということを事前に十分に確認することが重要かと思います。
公的国際協力機関では難しい
これはめったに募集がありませんが、運よく公募を見つけて選ばれれば数年は安定です。福利厚生もシッカリしていて家賃や教育費も出ます。国連の場合、イギリス式であれば子供の教育費はなんと大学院修了まで支給されますし、5年以上勤務すると年給が支給される制度があり、スタッフのほとんどが短期から2年くらいの契約で勤務している分手厚い保証があります。また母子家庭へのリモートワークの導入などにも柔軟に対応されています。JICAの場合は国内手当と海外手当別に支給され、おおざっぱに言うと合わせて月60万円くらいから、国連オフィサーの場合も大体そのくらいから始まるようです。これは派遣者や派遣地によって異なり、家族手当や危険地、高地手当、技術手当などが加算されます。最大2年の契約でこの金額が高いか低いかは議論のあるところかもしれませんが、日本での税金がかからないために、現地の人々に沿った生活をして計画的にしっかり貯めれば、かなりの貯蓄をすることも可能です。
まとめ
結局、セラピストとしての国際協力の専門家として仕事をし続けることはすこし難しそうですが、それをきっかけとして現地で指導者としての仕事を得たり、現地で事業を展開している人もいますので、次へのステップへのきっかけとすることもできそうです。また、国際協力の専門家としての実績を持ったことになるので、次は少し軸をずらして公衆衛生や医療人材育成などのプロジェクトにトライするのもありかもしれません。私の場合は、障害者支援分野に進みましたが、この分野も常に募集があるわけでもなく、切れ目なく仕事を続けることは難しいと思います。
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