今はJICA海外協力隊という名前に代わりましたが、このボランティア経験は大きな自己投資になりうると思います。もうたくさんのセラピストがすでに参加されているので、わざわざ言うこともないのですが、ボランティア経験の後、その調整員の経験もしてきたので長期的に見て大きな自己投資なりうるという視点で参加を強くお勧めしたいです。事前に計画を立てて参加することで、次のステップに踏みだす機会ともなりうると思います。セラピストとしても大きな付加価値を得て仕事への考え方や患者さんへの対応に幅を持たせることができるではないでしょうか。
元手がゼロでも
もう25年も前になってしまうのですが、私はセラピストを5年経験してから青年海外協力隊に参加しマレーシアで活動しました。セラピストは他の多くの職種と違って、応募者が少ないので全然英語ができなくても経験が浅くても合格の確率は高いと思います。私の応募動機は海外に旅行ではなく居住してみたい、でもお金はないから協力隊、というような不届きなものでしたが、合格して派遣前研修所での訓練が始まると他の人も大体似たり寄ったりの理由でした。そのあとで参加した国連ボランティアと比較してもお得だったなー、よい経験をさせてもらったなー、とつくづく思うのは以下の点です。
1.派遣前にじっくり集中して現地の言語の研修をしてもらえる
2.さらに赴任後も数週間の言語研修をしつつ文化を現地で学ぶことができる
3.ボランティア総会や分科会など、学びの機会や他の人とも交流の機会が多い
4.現地での貢献を考える、実施する過程そのものが自分自身の経験や視野を広げる機会となる
5.時間がたくさんあるので計画的に使えば学んだり他の語学を習得する機会となる
6.現地の人、現地の日本人、現地の外人との交流から様々な経験ができる
7.帰国後は次のステップのために使える積立金ももらえる
以上に加えて、私の場合は日本の首相がマレーシアに来られた時に空港で待機の手伝いをしていたので首相専用機内を見学させてもらえたり、海上自衛隊が寄港されたときには船内を案内してもらえたり、いろいろ役得があるもんだなあ、と思ったものでした。また、協力隊員だというだけで、旅行先でも行く先々で全く知らない方々からお世話になることが多々あり、不思議にも思いました。
私はあまり何も考えずに同僚と出かけてうろうろしたり漫然とすごしてはいたものの、英語を学ぶ必要に迫られ仕方なく英語を習っていました。しかし、今から考えればそれが次のキャリアにつながる重要なステップとなったわけです。周りの人もいろいろで日々を楽しく過ごしている人、いろいろ悩みながらも仕事にまい進する人、きちんと計画を立てて勉強している人、また任期終了するとともに大学院に入学した人もいてその準備周到さに驚いたりもしました。
私の場合は国際協力の方向に進んで今やセラピストではなくなってしまっていますが、セラピストとして次のステップに進むためにこの期間を使うこともできると思います。仕事をたくさんしたくても現地ではあまり思うようにはできないものですし、たいてい仕事時間は短く休みは多いので、それを使って英語力や第二外国語力を高めることによって海外の大学や大学院でセラピストの資格や専門性を高める勉強の基礎の部分を準備できると思います。
今は、インターネットの発達によって専門分野の勉強もできますし、この2年間を現地での貢献から様々な経験ができる一方で、たくさんある空き時間の有効利用で様々な可能性を広げることができます。また今ならオンラインでの学びも機会が格段に増えたので、何かほかの資格を取るための勉強や大学院に在学しながら論文を書き進めることも十分に考えられます。
こう書くといいことしかないのか、と言われそうですが、はやりわたしの場合でも事故にあったり物を盗まれたり、もちろん食中毒も何度か経験しました。友人も信頼していた現地の人に裏切られて鬱になりかけたり、それはいろいろありました。でもそれもこれもあとから考えるとよい経験ではないかと思います。現地の人から学ぶ所も多いですし、また日本人も今まで出会ったことのない人や考え方に触れる機会となり、やはり自分の経験を通して知見を広め、深めていくことができたと思います。
もし迷っている方がいらっしゃいましたら、この元手ゼロ円でできる2年間の自分磨きの機会にチャレンジされることをお勧めします。
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